カンショウのすすめ

2019.12.7-8 Sound Design Factory in Hamamatsu 2019 (浜松市鴨江アートセンター / 浜松)

緩衝材に風を与えて、緩衝材その物の音を聞こえるようにしました。
それぞれの緩衝材からは、それぞれが微妙に違う音程(ピッチ)でとても綺麗な小さな音が聴こえます。ここでは小さな音を聴こえやすくするために必要な音の電気的増幅はしていません。そのため、緩衝材の音を大きく聴きたい場合は、緩衝材の量を増やすと音量が大きくなります。

素材同士に動き(風)を与えることで生まれる音は、それぞれを干渉しあい再び音を作り出していきます。2つの物の間に立って不破や衝突を和らげる「緩衝」の役割を持つ緩衝材が、干渉し合う。そして、干渉の結果、空間を緩衝しているとも言えます。人は干渉を鑑賞、観照しています。 緩衝材は「緩衝」する立場から「干渉」へ変容し、鑑賞している人は、作品に対して「干渉」し、空間の「緩衝」に変容していきます。

この空間には、素材と鑑賞者の間に見えない「カンショウ」の意味の変容が行き来しています。